白緑蝶"Ice green butterfly
『・・・いい男なの?』

その言葉に私が頷くと
百枝は呆れ顔になる。

「私が言ってやろうか?」

「ううん、いい
 いつか、自分で言う」

いつか・・・

「私、踊ってくる

 電話、出な」

そう言って、銜えただけの煙草
を置いた百枝はもう何も言わず
揺れる人の波に紛れて行く。

鳴り響く、着信音。

私は、携帯電話を握り締め
足早に、うるさい音で溢れる
この場所から抜け出した。

お店の外・・・

「もしもし?」

「ユラ、何してた?
 早く出ろよ」
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