彼岸と此岸の狭間にて
〔6〕         

「まあ、入って適当に座れ」                       

祖父の部屋は教育者の面影はなかった。              
「殆ど農業の本だね!?」            
「まあ、この歳になると趣味とか娯楽にしか興味がなくなるからな」                 
葵は部屋の真ん中にある卓袱台(ちゃぶだい)の側に腰を下ろすと、リュックサックから『巻き物』を取り出す。                     
「これ見て欲しいんだけど…」

「『巻き物』か!?」              
葵は日本刀の事を除いて『巻き物』を手にした経緯を話す。                     
「すると、祖父ちゃんが初めて見るのか?」                            
祖父は『巻き物』を卓袱台の上に広げ、最後まで時間を掛けて見る。                                                                             
「分からないなあ…この5つの家にどんな関係があるのか!?」

「知っている家とかない?」

「『土門』は土門グループ、『菱山』は衆議院議員の菱山隆道だとしても、『山中』、『長谷部』は聞いた事がない」                 
「ここ見て?」                 
「どれ?」                   
「紫馬家の開祖の名前と俺の名前が同じ。そして、その人の奥さんと山中というところにある人の名前…」            

「雪之…同じだな…全然見当が付かない…疑問点を上げてみると、

第一に何故この巻き物が存在しているのか、その意味は?

第二に、何故これを『長谷部徳蔵』という人が持っていたのか?

第三に、この5つの家同士の関係は?そこに何の意味がある?」
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