Rose of blood
『ローズの匂いがする』

「くすぐったいよぉ」



私の首に顔を埋めて話すものだから、シエルの息がかかりくすぐったくて思わず笑ってしまった。


この部屋を出ればキリッとしているシエル。


どこからどう見ても一国の王子として相応しい姿。


でも今目の前にいるシエルは着飾っていない本来の姿のシエル。


愛している人に心を許してもらえることほど嬉しい事はない。



「早く支度しなきゃ。今日もお仕事でしょう?」

『このままずっと抱きしめていたい』

「私もそうだけど……駄目だよ」



体を離したシエルは不満そうな顔をしていた。


私の手を握りベッドを出たシエルに連れて行かれるがまま食卓へと向かった。






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