Rose of blood
受け取ろうとしないアイシャのポケットに無理矢理入れ、私は馬を着た道へ再び走らせた。



「ローズッッッッ!!」



この機会を逃してしまったら、もう二度と物的証拠は見付からないような気がする。


アルファナさんの証拠は勿論欲しい。


でも、戻る理由はそれだけではない。


カインが心配だった。


誰がクーデターを起こしたのか分からない。


もしそれがジオラさんだったら?


ザックだったら?


もしそうだとしたら悲しすぎる。


たった少し一緒に過ごした私でさえ、胸が締め付けられそうになる。


屋敷が見えてきた。


さっき見たときよりも、火と煙が上がっている。


急がないとッッ!!


私は馬屋に戻り、地下通路を通り屋敷の中へと急いだ。






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