【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
そんな有子には、付き合って5年になる徹哉が、癒しでもあり弱さを見せられる唯一の大切な場所だった。


お互いの家の“合鍵”を持ち、会いたい時にはいつでも会える。


でも有子は、それをしない。


会う時には必ず連絡を取り、休みの前の日以外は、遅くなってもそれぞれの部屋に帰った。

だからこそ常に新鮮さがあり、5年前と変わりなく付き合って居られるのだ。


有子は、そう信じて疑わなかった。





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