オパール・オッドアイ
オーロラのように
 
私は引きこもりだ。


出来るだけ自分のテリトリーに他人を近づけないようにして、行動は最小限。
基本夜行性で、親しい友人もいない。
唯一の外出といえば、深夜のコンビニくらいだ。


格好は腰まで伸びた後ろ髪を一つに結わえて、前髪は顔がほとんど見えない状態。
ほぼ、某有名ホラー映画主人公・貞〇ヘアー。
白いワンピースがお気に入りで外に出るときはだいたい似たり寄ったりな服装になり、ますます幽霊らしくなる。

地元の都市伝説・深夜にコンビニに通う幽霊の正体は私。
稀に都市伝説を検証してみよう!と張り切る人に遭遇するけど、途中で撒いて逃げる。
逃げ足の速さはちょっと自慢だった。


私の正体を知っているのは家族とコンビニの店員で幼なじみの隣の家に住む雪お兄ちゃんだけだ。
本名・杉原雪也(スギハラ セツヤ)さん
私の数少ない引きこもり理解者で、本当の兄のように大切な存在。
夜行性の私が少しでも外に出るように、深夜のコンビニで働く過保護に優しい人だ。
遊びに行くと構ってくれるし、追われていると匿ってくれるのでつい甘えてしまう。


『いつも』のように雪お兄ちゃんに構ってもらおうと外出したら
『いつも』のように伝説検証集団に遭遇して
『いつも』のように撒こうとした。


『いつも』と違ったのは集団の中の一人が異常なまでに足が速かったことと、その人がやたらと執念深かったこと。

普段ここまで切羽詰まった状態にはならない。

今、私は木の上にいる。

やっと撒いた!と思ったのもつかの間、近くで走る足音とライトの反射が見え焦った私はとっさに近くのどんぐりの木に上った。

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