オパール・オッドアイ
結局琥珀は意味を教えてくれなかった。
『雪夜兄さんにでも聞けば解るんじゃない?』
とのこと。

最近は公園でうさぎと待ち合わせをしているので傘・レインコート・レインブーツの完全防備で向かう。

琥珀と違って私は雨が好き。
確かに洗濯物が乾かないのは困る。
でもお気に入りの傘を差しながら最近ではとてもオシャレなデザインになったレインブーツで水溜まりに入ると、雨音と水溜まりに入る音が音楽みたいで楽しい。

「~♪」

鼻歌混じりに跳ねながら歩いていると公園の入口にうさぎが見えてきた。

「なんだか今日はずいぶんと機嫌良いみたいだね。」

「だって雨散歩日和じゃない。
風か強くないから吹き込んでこないし、長時間降り続けてたから水溜まりもある。
今はだいぶ小雨だから動きやすいし景色を楽しむ余裕だってあるし!」

「子供みたい。楽しそうだね。」

「子供で結構です~!
あ!この紫陽花今年も綺麗に咲いたんだ~。
でも…あれ?」

「どうかした?」

「いや、私達がまだ小さかった頃よくこの公園で遊んでいたんだけどその時はこんな色じゃなかった気が…。
ちょっと待って。
確か財布に写真が~あっ、あった!
ほら、やっぱり違う。」
うさぎに写真を見せる。
写真に写っている紫陽花は今より少し小ぶりで色は青なのに、目の前にあるのはピンクだ。

「あ~、土が変わったんじゃない?」

「土が変わる?」

「うん。紫陽花って土の性質によって色を変えるんだ酸性なら青、アルカリ性なら赤だったかな?」

「そっか~。
しばらく公園来てなかったからな~。
ちょっと残念な気もするけどピンクも綺麗。」

「だね。色変わりっていえば…。」

そう言いながら徐々に近づいてくるうさぎ。
左目に被さった前髪を少し持ち上げて私の瞳を覗き込む。

「なっ、なに!?」


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