オパール・オッドアイ
「私に跨がったまま物頼まないで!土下座されても嫌なものはイ・ヤ!
第一貴方に会って私に利点になるようなことがあるの?
本当ならこうして口も効きたくない。」

「…随分と本格的に嫌われちゃったな~。
でもそれなら尚更今放す訳にはいかないんだ。
君の事一目惚れしちゃったみたい。
約束してもらえるまで退くつもりはないよ。
利点になるかは判らないけど君の事は他人にはもちろん絶対話さない!
それから俺に叶えられる願い事なら叶える。俺に会わない以外ならある程度なんでも。」

なんでもと言うわりに私の一番の望みで、尚且つ最も簡単に叶えられる願い事を除外してきやがった…。

(本当に有り得ない!)

ただでさえ追いかけ回され疲れ果てた体に、木から落下した衝撃で至るところがボロボロなのに、精神的にも追い詰められる。

頭が正常に働いていなかったとしか思えない。

瞳を見られなければ大丈夫だと考えたあの時の自分をこのあと長々と恨み続けることになる。

「…わかった。
だからさっさとどいて。」

「えっ?
自分で言っておいて何だけど、本当にいいの!?」

「嫌に決まってるでしょ?
でも弱み握られてるのも事実だし。
何より疲れた。」

「ありがとう!」

いきなり飛び付かれおもいっきり抱きしめられた。もう抵抗する力は残っていない

「痛い、気持ち悪い、うざい、やめろ変態。」

「酷い!
せめて『変態』を名前のように使うの止めて!!
俺の名前は石狩椋兎(イシカリ ムクト)!」

地面にさらさらと名前を書いていく。

「うさぎ?」

「あぁ。最後のとは兎(ウサギ)。」

「それじゃこれからは貴方のことうさぎって呼ぶわ。」

「マジ?」

「本気と書いてマジと読みます。
もうひとつ候補があって『ぴょんきちくん』。
個人的にはこちらがオススメ。」

「うさぎで!」



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