オパール・オッドアイ
このままずっと見てるのは俺にとって毒だと判断し、少し離れようとした時服をしっかり握られている事に気付いた。

「…うわぁ。
生殺し決定だな。」

仕方なく近くにあった椅子に腰掛け聖歌の手を握ると幸せそうに微笑んだ。

くそっ!
いちいち、仕種が可愛いんだよ!コノヤロウ!

ぶつける所の無い気持ちをもんもんとさせながら動けないでいた。

幼い頃から変わらないこの笑顔が愛おしくて堪らない。
自分でも少し変だと思うほど、この女の子にべた惚れしている。
だからそういう顔は俺の前以外でしてほしくないのに聖歌は誘惑しようとしている訳でもなく天然でそういう顔を椋兎にも見せる。

たちが悪い。

少しムカムカ、イライラしながら聖歌を見つめる。

これは嫉妬。そして完ぺきに俺の八つ当たりだ。

いっその事、監禁出来たら良かったのにと思考が危ない方に傾く。

そうすれば椋兎にも係わらずに俺の思い通りに事が進んだはずだ。

でも残念な事にそれでは意味が無い。

俺は有りのままの聖歌を愛しているから。

自分から俺を選んでもらわなければ意味が無いのだ。

今は状況に追いつけなくて苦しい思いをさせているのはよく判っているけど、ここで監禁してしまったり脅して言いなりにさせてしまったら悪い結果にしかならない。

俺にとっても。
聖歌にとっても。

もしそうなってしまった場合俺は自分自身を許せない。

だから我慢すると同時に今まではしてこなかったアピールをすることにした。

俺はお兄ちゃんというイメージが強いだろうから出来るだけ恋人として意識してもらえるようにする。
そうすれば椋兎と並べる。

必死過ぎて笑えてくる。

それでも、
「…お前を手放したくない。」

祈りをこめて手の甲にキスを落とす。

どうか聖歌の選ぶ恋人が俺でありますように。

気持ち良さそうな聖歌の寝息が俺の眠気まで誘う。

どうせここから動けないのだから俺も少し眠ろう…。

聖歌のベッドに突っ伏し、そう思ってから眠りにつくまでさほど時間はかからなかった。
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