オパール・オッドアイ
「ええ。さっき瑠璃から電話があって話はだいたい聞いているわ。
立ち話もなんだから中に入って?
今、美味しい紅茶を用意するから。」

「わぁ!ありがとうございます!」
「「…お気遣いなく。」」

「男の子二人、今日は取って食ったりしないから。
そんなにびくびくしないでも大丈夫よ~?
瑠璃にも『程々にしたってな~?』って釘刺されているしね。」

「程々レベルで許されてる!?
しかも今日はって…。」

「…冗談よぉ~!」

「あまり冗談っぽくないです…。」
「お邪魔しま~す!」
「そんなことを話している間に聖歌は入って行っちゃうし。
仕方ない、腹を括れ琥珀。
姉ちゃん放って置けないだろ?」

「…。」

店?の中に入ると色々な物が幅広く和洋関係なくごちゃまぜに、でもオシャレに配置されていて不思議な空間が広がっていた。
一角には確かに味噌のコーナーも設けてあり、味噌屋と言うのも嘘ではないらしい。
売場の奥に扉がありそれを開けると更に洋風の世界が広がっていた。

「そこの椅子に座って。
ここは知る人ぞ知るお店だからくる人は皆常連さんなの。
たいてい此処で世間話をしながら私の入れた紅茶を飲んで買い物をして帰るのよ~。」

「憩いの場所なんですね。」

「あら!よく解っているじゃない!」

男の子二人が借りてきた猫の状態の中、私は店長さんと世間話を長々としてしまった。
ふと気付いた時にはもう辺りは暗くなり始めていてまた来る事を約束し、えごまを買って慌てて外に出てバス停に向かい走り出す。
提灯に明かりが灯り祭り会場まで案内してくれる中、人々は楽しそうに仲間同士で語らいながら祭りに向かう。
浴衣姿の人も結構いる。

「いいなぁ~。」

「明日行くだろ?」

「時間が許すなら是非とも行かせてあげたいけどさすがに今日は駄目だね。」

「分かってるよ!
そうじゃなくてこの雰囲気が良いなって。
皆、ウキウキしてる。」

「なるほど。」

「提灯も柔らかくて綺麗だし、浴衣も色とりどりで観ていて楽しくなるよな。」

「そう!」

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