夏の事。
真冬の大きな公園。


ここは観光地。

冬は他のトイレだと閉鎖されてしまうから。


あかりは、少し遠かったこの公園まで

勇気を振り絞って買った妊娠検査薬を持ち、やって来た。


(まだ閉まらない時間で良かった…)


ホームレス対策の為に深夜の12時には閉まるこのトイレ。


腕時計を見ると10時半。


トイレの中で妊娠検査薬を空け、説明書を読む。


…まさか自分にこんな日が来るなんて思わなかった。



説明書を開け、5分後。



………ガタガタガタガタ…………。

震える体に腕を抱える。



不安を通り越して、何が何だか分からなくなった時。

自分の体がここまで震えるなんて、そんな事思いもしなかった。



(どーしよ…どーしよ…)


誰か助けて!!


「………おかぁさぁん…………」


あれだけ離れたかったのに。

あれだけ、うざったく思っていたのに。


思い浮かぶのは「母」の顔……。


でも…。


話せない。

怒られたくない。

ショックな顔を見たくないっ!!!



(ヤバイよ…ホントにどうしよう………)


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