夏の事。

「うっ…うぇ………ゴホッゴボッ」

精神的に、なのか、なんなのか分からなかったけど。

その時初めて、つい最近から感じてたむかつきに勝てず、便座に胃の吐瀉物を吐いた。


涙が滲んで来る。

苦しくて苦しくて咳も涙も止まらない。

そのまま

「ひぃ〜ん……」

自分でも情けないと思う声で

便座の側で
ポロポロと涙を零して、うずくまって泣いていた。

ヒィックヒィック…。


嗚咽が止まらない。

けど


(今こうやっても始まらない)


無意識に向かったのは「アヤト」の家だった。

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