おしえてください、先生。

「あ、え、はい」



あの綺麗な人が、男の人……?

信じられないけど、真実として受け入れるしかなさそうだ。



「たまにあいつの趣味に付き合わされるんだよ。女装したら男引き連れて出歩きたいんだと」

「え、あ、そうなんだ……?」



てことはなに、ただの私の勘違い……?

顔に熱が集まるのがわかる。

すごい、恥ずかしい……。

でもあんなの、誰だって勘違いするよ……!



「ご、ごめんなさい……私……」



顔を両手で隠す。



「これ、もらっていい?」



指の隙間からうかがえば、雄悟先生が私の買ってきたチョコレートを指差している。



「う、うん……」



雄悟先生はチョコレートを一粒つまんで、口に入れる。

あま、と先生は呟くように言う。



「……安心した?」

「うん……ごめんなさい」

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