この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
お…男の朝の…生理…現象?


俺は助けを求めるように山吹を見た。


今日の山吹は白い袴姿ではなく何故か普通の人間のような服装をしている。


「そうなのか?じゃあ…どうすりゃ元に戻るんだ?」


そんな俺に山吹は当たり前みたいに言う。


「歌うんや。歌ったら治る」


「う…歌?」


にわかには信じられず俺は山吹を凝視した。


しかし山吹はいたって真面目な顔付きで、歌い出した。


「こうやって両手を上げてな?鎮まれ~鎮まれ~鎮まりたも~!!ほらお前もやってみぃ?」


「…………」


まるで、どじょうすくいを踊るような山吹を見て俺は固まっていた。


人間の男は…


こんなダサいことを毎朝しなきゃなんないのか?


「ほれ、やってみぃ、治らへんで?」


山吹はクイッと顎を俺に向けた


「………」


俺は戸惑った。


だけど…こんな姿のまま美代に会う訳にもいかない。


「こ…こうか?」


仕方なく


俺は気恥ずかしさに頬を赤くしながら踊って歌ってみた。


「し…鎮まれ~鎮まれ~…」


「ぎゃははははははは」


そんな俺を見て突然笑い転げる山吹。


「な…なんだよ?!」


俺はそんな山吹に困った顔をした。


なんか間違ってたか?!


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