この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
美代との同棲が始まって早くも1ヶ月。





バタバタバタ…!


『おい美代!うんこ出たぞ!』



朝の忙しい時間帯。

身仕度中の美代は気付かない。




バタバタバタ…!


『おい美代!うんこ!』



俺が所定の位置にうんこを出すと、

美代はいつもそれをトイレットペーパーで拾いトイレに流すのがお決まりになっていた。




バタバタバタ!


『おい美代!臭いぞっ!』


「あ~んっ遅刻遅刻~!」


『美代…!』


バタバタバタ…!





あぁ…くせぇ。

狭いゲージの中で俺はうんこから目一杯離れているが…


それにしても自分の糞だがいい加減臭すぎる。




――ガシャッ!

イライラした俺は前足で柵をガシャンとならした。


その音で美代はようやく気が付いた。



「わぁっマサルさんウンチしたんだ!」


『だから…さっきから言ってんだろ!さっさと処理しろ!』



美代は慌てトイレットペーパーでうんこを拾ってくれた。



「うんち出て偉いねぇ」


トイレから帰ってきた美代は俺を抱き上げた。


美代は俺がうんこをするといつも褒めてくれる。



『フンッ。まぁ今日はよく出たよな』


我ながらいい形ではあった。


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