この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
振り返る俺にズイッと顔を近付ける夏美。


「一緒にいてもいいけどあんまメイに近寄らないでよね」


「…………」


それだけ言うと夏美は俺の肩をパッと離し、パラソルに向かって駆け出した。


一緒にいてもいいけどって…


言われてもなんだか行きづらいんだけど。


部外者のような扱いになんだか腑に落ちないまま残された俺は頭をかいた。


しかしジリジリと照り付ける太陽に行き場もない俺は、結局パラソルに向かうしかなかった。



「メ~イ!」


美代の明るい声に


パラソルの影の中でボ――っと立っていた少女はゆっくりとこちらを振り向いた。


俺は夏美に言われた通り、美代より少し後ろでその様子を伺っている。


こちらを見た少女は


夏の砂浜に似合わない、長い黒髪に透ける程真っ白な肌をしていた。


子猫のような大きな目に赤い唇をした、かなりの美少女である。


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