この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ほら、タッパーに肉を確保し過ぎて部長に怒られたのは誰だっけ?」


「無論、美代だ」


「そうそう、美代だったよね~」


「~~~~…!!!///」


美代は二人に攻められ、もう泣きそうになっていた。


そんなやり取りを聞いて俺もなんだか顔が熱くなる。


「とりあえず…食っていいか?」


俺は軽く咳払いして美代を見た。


昼も食べていないからお腹はペコペコだった。


「ん、いいよ…っ」


美代は俺に背中を向けたまま、こっちをみてくれない。


俺は店内にあったフォークで肉を刺した。


美代は割りばしをつけてくれていたが、俺はまだ箸は使えないから。







――パクっ



「美代、うまいよ」


本当に旨かった。


空腹に加えて美代の思いやりというスパイスが詰まっているから。


「美代、ありがとう」


俺が言うと美代は半分だけ振り返り、赤い顔で頷いたのだった。




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