この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
砂浜に消えていった夏美と美代の姿は、もう見えなくなった。


しかし


ヒゲ男は今もなお、砂浜の上でどうしたら良いのか分からないと言うように固まっている。


コイツ…見た目がデカイわりに肝が小さい奴だな。


「…とりあえず、お前も早く追えよ」


俺は呆れながらも


煮え切らないヒゲ男を促すように、しゃがみこむヒゲ男の前に立った。


「男なら追え」


夏美が今追って来て欲しいのは美代よりもヒゲ男のはずだ。


――しかし


「なんで俺が…あんなやつ知らね~よ…」


いじけるヒゲ男は砂浜に指を突っ込んで砂いじりを始めた。


「第一…俺が好きなのは美代ちゃんだしよぉ」


「…………」


コイツ………


俺はため息をついた。



いくら助言をしたところでヒゲ男がこんなんじゃ


もうコイツと夏美は駄目かもしれない。


夏美も譲らない性格だしな…


まぁ、二人がどうなろうが俺にはあまり関係はないんだが。


だけどなんだか後味が悪い。


俺がそんな事を思っていると…








「――なぁ、マサルさん聞こえるか?」




不意に、山吹がそう言った。


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