この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「え…?」


その声に俺が山吹を振り返ると山吹は遠くの海の方を凝視していた。



その少し後ろにいたメイも、無表情のまま海に向かって歩き出す。


「あっち。夏美が危ない」


静かにそう言うメイ。


「え?夏美が…?」


海を指をさすメイの言葉に、ヒゲ男もパッと顔をあげて海の方を見た。




「…はぁ?メイちゃん?海には何も見えないよ?」


ヒゲ男はぎこちなく笑うと、尻についた砂を払いながら立ち上がった。


「………」


俺はメイと山吹が見つめる方向を見た。





確かに、何も見えない。


広い海は波も穏やかで、カップルや家族連れで賑わっていた。




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