この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

TV局

「はぁ?TV局~?」


ヒゲ男は意味が分からないというように、店の入口をガラガラと開け


のれんの隙間から外を見た。



その瞬間―――…





「あ、こんにちわ!お昼のニュースdeランチです!もしかして海堂アキラさんですか?」



いきなり聞こえてきたそんな声に


店内にいた俺たちは一斉にヒゲ男の背中を見た。


「は?え…と、海堂アキラは俺ですけど…」


「わぁ、やっぱり!ご本人がご在宅で良かった~!もし良ければ、このあと昨日の水難事故についてインタビューお願い出来ますか!?」


「え…??な、なんすかいきなり」


顔が見えないヒゲ男の背中から困惑した声が聞こえる。


「このあと生中継をやるんです。突撃取材でご家族のお話だけでもと思っていたんですが…まさかご本人に会えるなんて」




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