この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「は?な…生中継?!」


「あ、まだTVをご覧になられてないですか?昨日浜辺に居合わせた視聴者の方から、イルカに乗った青年があなたを救助する奇跡のシーンのビデオ投稿が当番組宛にあったのですが…」


「と…投稿???」


まくし立てるように話すリポーターとオロオロするヒゲ男のやり取りに


夏美は店内に設置されているTV画面を慌ててONにした。


そして“ニュースdeランチ”にチャンネルを合わせる。


ニュースdeランチ、とは


毎日昼過ぎのこの時間帯に放送されている人気番組らしく


画面の向こうでは司会者とゲストが芸能の話題で盛り上がっていた。




「最後にお店の宣伝もさせて頂きますので、ぜひ!お願いします!」


「え…??」


「あ、一応突撃取材という形にしたいので一旦閉めますね。」


そう言うと


ガラガラと引き戸が閉められ、店内に静寂が訪れた。



「……………」


目を見合わす俺たちと、ゆっくりと振り返るヒゲ男。



「え…?どゆこと…?マジであの…ニュースdeランチ?」


ヒゲ男がぽつりと言った。


「……………」


しかし誰も答えられなかった。



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