この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「!!!」


それを見て、ヒゲ男が咄嗟に引き戸を掴んだ。



《あれ?開かないですね?何か引っ掛かったかな…?》


TVの向こうで大林リポーターは引き戸をグイグイと引こうとしている。


しかし


ヒゲ男に押さえられた引き戸はガタガタいうだけで開かない。


「ちょっ…アキラなにやってんのよ」


夏美が小声で叫ぶ。


必死で引き戸を押さえるヒゲ男は顔だけをこちらに向けた。


「だだだ…だってよぉ!全国生中継だぞ!?こここ…ッ心の準備が…!」


「そ…そうだけど…」


しかし次の瞬間


店内にドンドンという音が響いた。


「………ッ!!」


《すみませ~ん!ニュースブランチの大林といいます!海堂さんいらっしゃっいますか~?》



ドンドンッ!


ドンドンッ!



大林リポーターは引き戸を開けることを諦め、叩いて呼び出すことにしたらしい。


ヒゲ男は絶句したまま喉をゴクンと鳴らした。


「え……ど、どうすれば…?」


助けを求めるように全員を見るヒゲ男。


冷や汗のでたその表情はまるでホラー映画の主人公だ。


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