この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
ドンドンッ!


《海堂さ~ん!いらっしゃったら返事してくださ~い!》


繰り返される問いかけにヒゲ男の顔が青くなっていく。


「と、とりあえず…出れば?」


たまりかねた夏美の声に、首をブンブン振るヒゲ男。




そんな時だった。




リリリリリン!




突然、店内にある黒電話が鳴り響いた。


「!!!!」


全員が思わず、びくっとしてしまう。



リリリリリン!



けたたましく鳴り響く電話の音に


ヒゲ男の親父がコホンと咳払いをして電話を取った。


「…はい、海堂寿司です」


ヒゲ親父が静かな声で言う。


『おぉ!大将かい!村上だけどよ、今TV見たら大将んとこが映ってるからよぉ!!』


「あ、あぁ村上さん。お世話になってます」



相手はかなり興奮しているらしく、静かな店内に受話器からは相手の声が漏れていた。


話す雰囲気から、電話の相手はこの店の常連らしい。



『救助されたっつうのは大将んとこのアキラちゃんだったんだなぁ!てか大将、店にいるんやがな!』


「え?」


『いるなら居留守なんざ使わねぇでTV出てくれや!』


「は、はぁ、しかし…」


『うちの母ちゃんも興奮しっぱだしよぉ!皆あんたが出るの待ってんだよ!一発、宣伝バシッとキメてくれよ!』


「…………」


『じゃあ電話切るから頼んだで!女房とTV見とるでな!』



< 271 / 513 >

この作品をシェア

pagetop