この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
なんだか分かったような分からないような話だな…。


俺はそんな煮え切らない思いでひたすらムシャムシャと草を食べた。


そんな俺に、銀は励ますように言う。


『その調子なら元気もあるようだしすぐ人間に戻れるっポよ』


『そうか…』


『クルック~。早く戻って美代氏の元に行きたいっポよ?』


『え……………』


銀の不意討ち的な発言に少し赤くなる俺。


そんな俺にボスは唾を吐いた。


『はん、俺はうさぎのマサルの方がしっくりくるがニャ~。人間のマサルは頭が高いからニャ』


『な…なんだよそれ///』


『マサル坊が俺を見下ろすニャんて100年早いニャ』


『仕方ないだろ。実際、頭が高くなるんだから』


『ニャ~』


ボスの鳴き声に、ようやく笑顔を取り戻す俺。


そして俺はふと思い出した。


『あ、そういや俺…人間に戻ったら多分裸になるんだが…』


こんな緑地公園のど真ん中で、いくら夜とはいえ裸はまずい気がする。


だいたい裸のまま、どうやって美代の部屋に戻れば良いのか。


『クルック~…』


そんな俺の考えを察した銀は、少し考えてからこう言った。


『それなら僕が今からスーパーで衣類を買ってクルック~』




『え…?どうやって?』




俺は銀の方を見た。





すると


銀がいた場所にはいつの間にか知らない男性が座っていた。


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