この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
俺は薬味のネギを刻み、茄子の味噌汁に放りこんだ。



「ん…マサルさん、おはよう」


ちょうどその時、


美代の半分寝ぼけた声が背中から聞こえてきた。


「美代、おはよう」
「―…いい匂い」


美代は俺の背後からキッチンを覗きこむ。


「わぁ、朝からいっぱい作ったんだねぇ」


美代のほんわかな笑顔に俺も微笑む。


そして俺たちは机をはさんで、朝食を摂ることにした。


「日本人たるもの、朝飯は炊きたての白米と納豆、そして味噌汁に限るな」


俺は爽やかな気分で味噌汁をすすった。


「そうだねぇ」


「おい、美代。1日一杯の味噌汁は胃ガンの発病率を半分以下にするらしいぞ」


「へぇ?そうなんだ」


「あぁ。だからちゃんと食えよ」


そこまで言うと俺はスプーンで納豆ご飯をかっこんだ。


うさぎの頃は納豆を食べたことがなかったが


炊きたての米と納豆の相性は抜群だ。



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