この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ほんで、状況は?」


「あ、あぁ…」


俺は伸太郎に今までのことを話し出そうとした。


「お、俺も良く分からないが…最初になんか天使の山吹が現れてだな…」


「あ~、そう言う話はどうでも良いから。聞きてぇのは今と未来の話だよ。こっから先、マサルどうなんだ?」


け…経緯はどうでも良いのか?


うさぎが人間になるなんて話、経緯も重要な気がするが。


伸太郎は俺が思っていたよりもずっとずっとスケールの大きな男だった。


「これからの事は…俺も全然分からないんだ」


俺はシュンとした。


「ただ、俺が生きていられるのはあと半月くらいで…」


俺の話に眉をよせる伸太郎。


「なんだそりゃ?責任者に会わせろ」


「せ…責任者?」


責任者って…一応、山吹になるんだろうか。


だけど


「いくら伸太郎でもそれは無理だ」


だって、すでに俺が今、人間として存在しているだけでも奇跡なんだから。



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