この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「はぁ…はぁ、ねぇマサルさん…これから…どうしよう」



ふいに


空を見上げる俺に美代が歩きながら小声で聞いてきた。


「え?」


「本当に…このまま国外に出たら…もう終わりだよ…」


「……………」


「私…怖い…」


美代は震えていた。


「……………」


俺は美代の手を取ると、そっと美代の耳に自分の口を近付ける。


「……大丈夫だ。確証はないけど助かるかもしれない」


「……え?」






その時


「さっきから何コソコソ喋ってんだ!」


後ろの武装男からチャキッと銃口を背中に突き付けられた。


「……!!!」


「違う…!!美代の体調が悪そうだから大丈夫かと聞いていただけだ…!!」


恐怖で声も出せない美代の代わりに俺は必死に言い訳をした。


「次に無駄口たたいたら女は容赦なく射つぞ!」


「……ッ!!!」


俺は怒りに唇を噛み締めた。


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