この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
すると


パシャンと海の中から魚が飛び出し、前屈みになっていた男の頬をビンタした。


…!!!


その衝撃で、男の眼鏡がポチャンと海に落ちた。


「…………ッ!?」


いきなりの出来事に、面食らい放心している男。


『へへっ!俺のシッポビンタは強烈だろ』


そう言って笑ったのは


ヒゲ男の寿司屋で逃がした車海老の弥彦だった。


「や…弥彦…!!」


『なんでい、せっかくマサルさんの声聞いて来たのによ!なんかボロボロだな』


車海老の弥彦はもう一度元気に跳ねると俺に尾ひれをふった。


『眼鏡は自分が頂くでやす…』


海底に落ちた眼鏡を唇で掴み、泳ぐのは平あじの佐之助。


『驚くのは早いスよ、マサルさん』


「え………?」


海鳥はスイッと風に乗り俺の上空を舞いながら遠くを見た。






「な…なんなんだ、アレは…」


海に浸かったまま放心していた男が、水平線を見つめて呟いた。




「これは………夢か?」










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