この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
水平線からは


蜃気楼がかかっているかのように何かの影が浮かんでいる。


その影が徐々に大きくなるに従い、どこか遠くから何かの鳴き声のような音が聞こえてきた。




オォ――――…ン


ズ――――ン



空気を振動させるような音に、砂浜にいた全ての人間の動きが止まった。







まさに夢のようだった。


到底あり得ない異様なその光景に、誰もが息を飲んだ。





















――少し時刻は遡る――




マサルがヘリで出発した直後、夏美や尾崎の残る市街では異変が起きていた。




《大変な事が起きています…!》


各局で臨時の報道ニュースが流れ


外にいるサラリーマンや学生たちは街頭や店先に並ぶテレビの前に釘付けになっていた。



《し…信じられません!!動物園から動物達が一斉に脱走しました!!
檻の中はもぬけの殻に…》


《これは先ほどの映像です!キリンを筆頭に…動物達が市街を縦断………》


《野生の動物にも同等の現象が……専門家によるとこのような現象が起こった前例はなく…》





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