選択
「そんな事があったんだ」
夕飯時林田先生が亡くなった話をすると旦那はあまり興味なさそうな返事をしたいつもそうだ
私の話には対して興味を示さない
わかっていたことだけどね
「葬式ぐらいいってこれば?巧は母さん預かってくれるだろ 巧咳もうしてないみたいだから大丈夫だろ」

やっぱり葬式ぐらいいったほうがいいよね
お世話になったし原因も知りたいし なにか聞けるかもしれないし やじ馬根性かもしれないけど何故急に?って気になるし

香典いくら包めばいいかしら なんて軽く考えながらその日は終わった

葬式当日

雨が降りしきる中
葬儀は滞りなく進んでいる
沢山とはいえない参列者からは時々啜り泣きのような声が漏れていた

受付で香典を渡すと受付の女が声をかけてきた

「患者さん?」
「はぁ」
私の返事に女は小声で耳打ちした
「ここだけの話なんだけど」
「はぁ」
「貴方大丈夫?」

大丈夫ってなにが?

「林田先生ねなんか普通の死に方じゃなくてね」
女が小声をさらに小さくする
「ナニカに感染して亡くなったみたいなの」
「?」
「私見てたんだけどね」
女は回りを気にしながら続けた
「先生と看護師の遺体が病院から運びだされた後に病院立ち入り禁止になったのに防護服みたいなの着た人達が何人も出入りしてたのよ!」
「防護服?」
「そうよっ!私近所だから見ちゃって!防護服の人達になにかあったんですかっ!聞いても何もないっていうし でも何もないなら防護服なんて変でしょう? だからナニカ病原菌がいてそれに不注意で感染してなくなったんじゃないかって噂なのよ 病院だもの 」
「いやぁ話が飛躍しすぎじゃ」
「でも防護服ってへんよ 先生が亡くなってから毎日出入りしてるわ 私近所だからうちにまでなんか変な菌がこないか心配で 」
「大丈夫じゃ」
「なにかあってからじゃ遅いのよ 貴方も患者であそこいっていたのなら感染していないか調べた方がいいわよ!」
「はぁ」

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