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鈴木仁美
事の始まりはいつもと変わらないはずだった日常の一部から始まった

私の一人息子(五歳)巧が朝から咳をしている

ただの風邪だと思いながら病院に連れて行くと診断はやはり風邪

やっぱりね

ただ巧は小さい頃から体が弱い

主治医は念の為に血液検査をするといった

30分後白血球の数が少し多いが問題ないだろうということで帰された

私は安堵し巧と共に帰宅

夕方まで巧と家で過ごし夕方のニュースに目をやりながら夕飯の支度をする

その時ニュースから見たことがある映像が飛び込んできた

今日行った病院が移っている

なにがあったんだろう

一時夕飯作りの手を止めテレビに集中する

レポーターがけたましく話し始める

『○○市立病院から中継です
先程病院内でこの病院に勤務している医師の林田昌三さんと看護師の長井智美さんが倒れているのが見つかりました
二人共に発見時には意識不明でしたがまもなく死亡しました
死亡原因はわかっておらず警察は事件として調べる模様です
詳しい事がわかり次第お伝えいたします』

林田先生が死んだの?
私は気が動転した

林田先生は今日巧をみてもらった先生だ
先生がいきなり何故?

私の疑問にはテレビは答えてくれずもう違う話題になっている

呆然としながらふと巧に目を向けた

無邪気に遊んでいる
時折咳がでるが元気なようだ

お葬式とかあるならいったほうがいいのかしら
などと考えていると
玄関から声が聞こえた
「パパだ!」
巧が玄関に跳んで行った
旦那が帰宅したらしい

お帰りなさいと旦那に告げ中途半端な夕飯の支度にとりかかった



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