先見の巫女


―天狗一族


神に最も近く、天から人間達を傍観する役目を与えられた一族…


天狗一族は白髪に長い鼻、鋭い瞳を持つ。それは天狗に与えられた体という器だ。


ある日、一人の天狗は役目を無視し傍観のみ許された地上と干渉をしてしまった。


地上の人間の女を愛してしまったのだ。


天狗は無理矢理その女を我が物にし子を産ませた。


それを知った神は怒り天狗一族に呪いをかけた。


『汝等が犯した罪を永久に忘れぬように何度も何度もその罪を贖おうとするように…』


それは戒めだった。一人の天狗の行いは一族を巻き込む大きな罪となった。


神がかけた呪い…それは…


一族の子に災いをもたらす人間の赤子を産ませる事だった。


天狗とは相違する闇夜の髪、金色の瞳…


天狗から生まれた翼を持たない人間の子。
これこそが呪いだった。


やがて禁忌の赤子は天狗一族に災いをもたらした。


ある者は天狗としても命同様に大切な翼を喰われた者、原因不明の病に犯される者と災いの形は様々だった。







< 100 / 216 >

この作品をシェア

pagetop