先見の巫女


「雛菊…あなたの父となれた事を神にどれだけ感謝をした事か…分かりません。あなたは私への
最高の贈り物です」


晴明様の背中は広く大きく、あたしの父の背中だった。


「晴明様…
あたしは…あたしはっ…
晴明様と出会い、
子になれた事…
本当に幸せでした…」


どれだけあなたに感謝をしているか…
晴明様は気付いていますか?


「雛菊、最初に言っておく。
俺は雛菊に惹かれてた。
今も…だけど…
俺は雛菊が本当に幸せになってくれたらって思う。
それを叶えられるのは朱雀しかいないから…だから…」


星雪は少しだけ振り返り
あたしに笑顔を向ける。


「朱雀に沢山我が儘を言って、沢山大事にしてもらうんだ」


星雪の言葉にあたしは
何度も頷く。


「星雪…あたしを
見つけてくれてありがとう…
失った心の温かさを教えてくれたのは星雪…あなただった」


だからこそあたしは…
朱雀の隣にいられる。


「雛菊…共に…共にいると誓う」

「あたしも…誓うよ…」


それからそれぞれが
扇、槍、刀を構える。


そしてあたしは祈った。
全ての幸せを願って…







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