先見の巫女
「優雛…
そんなぼんやりしてたら
危ないよ!!」
双子の弟の流星(リュウセイ)があたしの腕を引っ張る。
すぐ横を車が通った。
「あははは…
死ぬ所だったぁ〜…」
「優雛…
俺がいなきゃ死んじゃうよ」
ため息をつく流星に
つい笑ってしまう。
流星はあたしと同じで陰陽術に関しては全く駄目だった。
そのかわり、流星は少し変わった力を持っている。
『グキャギャーッ!!』
「…まただね…水紋玄武!!」
流星の手には槍が握られている。その槍は現れた霊を一瞬にして消し去った。
「…わぁ〜…
やっぱりすごいね流星」
「優雛!優雛は狙われやすいんだから気をつけてって何度も言ってるでしょ!!」
咎めるような言い方に、
どっちが姉か分からなくなる。
実際問題流星の方がしっかりしてると自分でも思う。
「…戻れ」
流星がそう言えば、槍はパッと光を放ち消えた。
あたしの父である安倍光明(コウメイ)は扇凛白虎という扇で霊を払う事が出来る。
あたしが子供の頃から
そうして護られてきたのだ。