いい意味で
第三章 夜中の道
第三章 夜中の道
夜も更けてきた。りうとおんちゃんはかなり酔っ払ってる。
僕も酔っ払ってはいるが、まだちゃんと出来る程度で。

その居酒屋から、ホテルまでは歩いて10分位だけど、
雨が降っているのでタクシーに乗ることにした。

ホテルに着き、ふらふらの二人を部屋に連れて行き
おんちゃんとりうは速攻で眠りについていた。多分あの紳士一気飲みゲームと疲れのせいだと思う。

僕は一人部屋の方をワガママ行ってゲットしたから、部屋に戻りシャワーを浴びた。
なんだろうな。なんかまだ寝れそうもない。そこそこ酔ってるし疲れてるはずなのにな。

とりあえず外で煙草でも吸おうと思い、煙草とカギとアイポッドを持って部屋を出た。

外に出ると、風呂上りのせいでもあるのだろう。さっきよりも寒く感じる。
せっかくだからちょっと歩いてみよう。

しかし、明日までにこの雨は止みそうにないな。

そう思いながら、アイポッドで大好きな曲をクリックする。
アメリカの有名なヒップホップのトラックメイカーが病気で死んで、仲間達がその人の曲をトリビュートした1曲。

切ないメロディーが流れ 柔らかい音のドラムが鳴り 
エモーショナルなラップが流れ出す。

世界は音に包まれ、青森の街に僕の夜が生まれ、煙草の火は燃えていく

アーケード、屋根のある道を歩いていると、百メートルくらい先、
深夜二時過ぎだというのに、向こうの道から女の人が一人、こっちに歩いてくるのが見えた。

近くのチェーン店の大衆居酒屋にはまだ灯りがついてる。
だが周りに歩いてる人はいない。

何やってんだろうあの人。呑んだ帰りかな?可愛いかな。

進行方向なので、僕とその女の人は近づいていく。

近づくにつれ、その服装に見覚えがあった。


そう、あの女の人だ。
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