一人こっくりさん
「…………!」

 目の前には、俺の部屋。
 “俺の”部屋のはずだ。

 でも何かが違う。
 この部屋の雰囲気が、空気が、“俺の”ではない“何か”に支配されているように感じた。

 寒気が 止まらない。

 部屋自体は朝と変わらないのに……

「……ん?」

 と思っていたら部屋の中心辺りに、朝は無かったものがあった。

 寒気を全身に感じながらもそれに近づいてみた。

「あ……!!」

 それは銀のブレスレットだった。
 いつも母さんが付けていた物だった。
 俺はそれを拾い上げた。
 輝く銀に、赤黒い液体が付着していた。

 ………血……?

 ……母さん!!!

「母さん! 母さん!!」

 俺は叫ぶ。
 返事は無い。

「母さんを返せ!!!」

 俺は叫ぶ。
 返事は

『こっくりさんに聞いてみなよ』

「!?!?」

 誰だ……!?

 ブレスレットを持ったまま辺りを見回す。


 “何か”は、開けっ放しの窓際にちょこんと座っていた。
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