一人こっくりさん
第十三章 戦い
※知依目線

「こっくりさん、そろそろ姿を見せてくれない?」

 僕は言った。
 こっくりさんと思われる黒い影が部屋の中央に浮いている。
 パソコンを見ると、カーソルが動いている。

【だ】
    【ま】
        【れ】

     【黙れ】

「はっきり姿を見せてはくれないんだ? ケチだね」

 僕は微笑した。

 黒い影が少し動いた。
 僕は身構えた。

 ――来る!!

 ザザザッ!

 黒い影から無数の刃が伸びてきた。

「……はぁ」

 僕はそれをクルッと空中で一回転して避けた。

 まだ余裕だ。
 僕も攻撃を仕掛けるかな。
 僕は優の部屋をぐるりを見回した。
 そしてあるものに目星をつけて、右手をスッと前に出した。

 フワッ

 優の勉強机に置いてある辞書が2、3冊浮いた。
 それらは黒い影に向かって飛ぶ。

 ビュッ……ザシュザシュッ!!

「なっ!?!?」

こっくりさんは攻撃を避けなかった。
辞書は黒い影に命中した――――はずだった。

「……透けた!?」

 そうとしか言いようが無かった。
 辞書はこっくりさんをを通り抜け、壁に刺さった。

 攻撃が効かないって事……!?
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