一人こっくりさん
 そんなの……太刀打ち出来ないじゃん。
 さっきまでの余裕は焦りへと変わった。

「!!!!」

 ズバババッ!!

こっくりさんが二度目の攻撃を仕掛けてきた。
 僕は先程のショックで体がすぐに反応しなかった。

「くっ!!」

 なんとか避けたが、刃の一つが足を擦った。
 このままじゃ、防戦一方になってしまう。
 そうなると拉致があかない。

 姿がはっきり見えれば、攻撃出来るのに……!

「……姿、見せて」

 カーソルは【いいえ】を差す。

 どうするかな……。
 思考するが、何も策は浮かばない。
 その時、カーソルが動きだした。

【ほ】
 【ん】
  【き】
      【だ】
       【す】
【本 気 だ す】

「え」


 ドオオォォン!!!


「あ……」

 速すぎる。
 動きが見えなかった。
 ただ気付いたら、僕の脇腹には鋭い刃が深々と刺さっていた。

 血は出ない。
 僕は、死んでるから。

 でも、痛みは感じる。
 僕は、心があるから。

 僕は一度死んだ。
 だからもう死ぬ事はない。
 今度致命傷を負った時は、僕は消滅する。
 消えるんだ。
 この心も、消滅する。

 そうなる訳にはいかない。
 守るものがあるから。
 待っている人が居るから。

 僕は戦う。
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