一人こっくりさん
第十六章 信頼
 ――と言う事で今に至る。

「駿、お前だって……死にたくないだろ?」

 駿は黙っている。

「生きてんだからよ……」

 駿は

『……………よ…』

 言葉を発した。

『死にたくないよっ――!!』

 そして駿は泣き崩れた。

『優とっ、生きたいよっ……』

 駿……。

「ああ、ああ」

 それでいいんだ。
 生きてるんだから、死にたくないに決まってる
 ――それで、いいんだ。

『お兄ちゃん……』

 チイラは俺の後ろで心配そうにしている。

「もう、こんな事しようとするなよ」

『でも――』

「俺だって生きたいけど、お前が居なきゃ意味が無いだろ」

『ゆっ……う……!』

「はいはい」

 仕方ない奴だな。
 俺は駿の髪をくしゃくしゃと撫でた。


『で、どうするの?』

 チイラが口を開いた。

『うーん……』

 駿は首を傾げた。
 だが俺の考えはもう決まっていた。

「俺が――」

『え?』

「俺が、悪い心を取り除く」
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