一人こっくりさん
『ゆ……何言ってんの……?』

 駿とチイラが驚いて俺を見る。

「俺が、悪い心を吸収してこっくりさんを消すんだよ」

 俺は無表情で言った。

『やだっ……!! 優が言ったんじゃん!! 一緒に生きようって――』

「ああ、そうだ」

 俺は駿と生きる。
 確かに、そう言った。
 嘘じゃない。本心だ。

「あの本には〔悪に取りつかれ死んでしまう可能性が多い〕って書いてあったろ」

『うん、だから――!』

「逆に言うと、悪に取りつかれても生きられる可能性が少なくともある、と言う事だ」

 死ぬ可能性は、絶対じゃない。
 生きる可能性は、ゼロじゃないんだ。
 ただ死ぬ可能性の方がちょっぴり多いってだけだ。
 簡単じゃないか。

「生きる可能性に、賭けてみようぜ」

 それは、生死を分ける賭け。
 とっても危険な賭け。
 当たる可能性は、確実に半分以下。
 そんな、賭け。

『もし……死んだら……』

「死なねぇよ」

 根拠の無い言葉。
 駿に、というより自分に言い聞かせるように言った。
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