ショコラ~恋なんてあり得ない~


「三日以内にいらっしゃらないときは、警察に通報しますね」

「あ、……あはは。すいません」


あたしの笑顔に、若干引きつった笑みを浮かべた先生は、そのまま肩を落として、子供たちに慰められながら扉をくぐっていった。


いや、あたし頑張ったわよこれでも。
こめかみの血管が切れそうだったのに、笑顔で応対した自分のビジネス精神を尊敬するわ。


「詩子、こえぇ」


小さなマサの声。ぎろりと睨むと、慌てて目をそらす。

ふん、根性無し。

その後すぐに、別の席から呼び出される。

慌ただしさに、マサを苛める元気も無くなり、午後二時に一息つけた時には、その優柔不断男のこともすっかり忘れてしまっていた。



< 16 / 303 >

この作品をシェア

pagetop