ショコラ~恋なんてあり得ない~
「三日以内にいらっしゃらないときは、警察に通報しますね」
「あ、……あはは。すいません」
あたしの笑顔に、若干引きつった笑みを浮かべた先生は、そのまま肩を落として、子供たちに慰められながら扉をくぐっていった。
いや、あたし頑張ったわよこれでも。
こめかみの血管が切れそうだったのに、笑顔で応対した自分のビジネス精神を尊敬するわ。
「詩子、こえぇ」
小さなマサの声。ぎろりと睨むと、慌てて目をそらす。
ふん、根性無し。
その後すぐに、別の席から呼び出される。
慌ただしさに、マサを苛める元気も無くなり、午後二時に一息つけた時には、その優柔不断男のこともすっかり忘れてしまっていた。