ショコラ~恋なんてあり得ない~

そう思った途端。
彼の顔が青ざめていくのに気付いた。


「あれ、ちょっと大丈夫?」

「ごめん、詩子さん。俺、腹が……」

「ああ、冷たいものの食べ過ぎよ。ハイ」


さっきポケットに入れておいた腹薬。
早速役に立ったじゃないの。


「あ、ありがと」


公園の水で薬を飲んで。
それでも青い顔の彼は、

「一度家に帰るね」

と若干あわてながら帰って行った。


とりあえず、ちゃんと言えなくても気持ちは伝わったみたいだったけど。

なんかこうしっくりこないわ。

告白ってやっぱり「貴方が好きです」とか言って、「俺も」とかいう意志交換があってナンボなものなのね。

宗司さんの言い分なんか聞かずにちゃんと告ればよかった。


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