ショコラ~恋なんてあり得ない~
「ハイ、お待たせ」
フラッペを彼女の目の前に置き、何か言いたげに立ちつくしている。
和美ちゃんの方も、指先でスプーンをいじってうつむいたままだ。
じれったいわね。
まあ大概あたしと宗司さんもじれったいけどね。
人の事だとなんとかしてやりたくなるもんだわ。
「マサ。今日は和美ちゃん借りるから」
「はあ? なんだその話、聞いてないぞ」
「今約束したんだもの。マサの愚痴一杯聞かせてもらうとするわ」
「詩子さん!」
「こんな可愛い子落ち込ませるなんて、一体何したんだか」
ふふんと鼻で笑って、視線をマサに流す。