ショコラ~恋なんてあり得ない~


若干ビクビクした様子で、親父に受け答えする宗司さん。
可哀想に、緊張してきたばかりなのに、何故ここで再び威圧されているんだろう。


「もうちょっと堂々としてないと、教師にはきつくないか?」


遠慮なく親父がそんな事を言うから、あたしは思わず立ち上がった。


「え?」


宗司さんの方はキョトンとした顔で親父を見つめる。


「俺みたいな保護者はいくらだっているだろう。もっと酷いのもいるな。
生徒も、皆が皆大人しい訳じゃない。お前、そういうのに対応できんのか?」

「ちょっと父さん、何言うのよ」

「詩子は黙ってろ。俺は彼と話しているんだ」


ちらりと宗司さんを見ると、あたしを気遣ってか力ない笑顔を見せる。

大丈夫って?
でも全然大丈夫に見えないのはあたしだけ?

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