ショコラ~恋なんてあり得ない~
「黙ってられないけど」
「詩子さん!」
「父さん、何の権利があってそんな事言うの。
今試験終えたばかりの人よ。少しはねぎらってあげたらいいじゃない」
「俺は彼の気質が知りたいんだよ。お前の心配してるんだ」
「ちょっ……余計なことばっかり言わないでよ!」
もう多分ばれてるけど。
ちゃんと告ってないんだから親父がばらすなよ!!
言い返してやりたいのに、不覚にも顔が赤くなってしまって言葉が出なくなってしまった。
それを見ていた宗司さんが、立ちあがった。
「俺は、教師になりたいと思ってます。
今の職場……塾なんですけど、そこでもそうなんですが、勉強が出来なくて躓く子を失くしたいんです。
勉強が好きだ。分かるって楽しい。そういうことを教えたい。
その為に教師になりたいんです」
ピンと背筋を伸ばしてそういう宗司さんは、意外にも格好いい。
ちょっと待って。
心臓がドキドキする。
ますます顔が熱くなってくるんですけど。