ヤクザと恋愛



「俺、カッコ悪いな。」


そんなことないよ。


「凄くかっこいいよ。」


私が言うと、陽くんは少し頬を紅くした。


「…。早く行くぞ!」


陽くんは私から離れて歩き出した。



「陽くん、待って!」

私は陽くんを追いかけた。















「セイナちゃん!泳ごう!」


「…うん。」


「セイナ?どうした。」


「私…泳げない。」


学校のプールでは泳げる。

でも、海は深さが変わる。



「…麻美は河瀬と泳いできたらどうだ?」


私の気持ちを察したのか陽くんが麻美さんに言ってくれた。




「じゃあ、後でナンパしょうね!」


麻美さんはナンパというセリフを残して、河瀬さんと泳ぎに行った。




「ナンパ…?絶対ダメだ!」


陽くんが大声を出した。



「ちょっ。陽くん…。ナンパなんてしないから。」



「…行くぞ、セイナ。」



陽くんは私の手をもって、海に歩き出した。


バシャッ。


久しぶりに入った海は冷たくて気持ちよかった。


でも…。


「どこまで行くの?」

聞いても陽くんは黙ったままだ。



そして…。


「陽くん…。んっ!足がつかない。」


凄く深いところまで来た。



「俺の足はついてる。」


「助けて…。ごめんなさい…。」


私が謝ると、陽くんは足を止めて私に向き直った。



「…っ!ごめん。俺、どうかしてた。」


そう言って私を抱きしめてくれた。











< 103 / 164 >

この作品をシェア

pagetop