ヤクザと恋愛



男の人に組長と言われた人は私を見た。



まだ20代前半くらいの人だった。

綺麗な顔立ちの人だった。




「お前、名前は。」


組長と呼ばれた人が銃を下ろさせて私に言った。




「…早瀬、セイナ…です。」


私の名前を聞いた瞬間、組長の顔が輝いた。


「セイナか。…俺のこと、覚えてるか?」


組長が突然聞いてきた。


「いえ…。ごめんなさい。」

私には、その人を見た記憶がなかった。



「謝るなよ。俺は、松下透夜(トウヤ)。松下組の組長で、セイナの従兄弟だ。」




従兄弟…?


私に従兄弟の記憶はなかった。



「突然言われても。…陽くん。」


私は頭が混乱し、陽くんに助けを求めた。



「セイナ。大丈夫だよ。」


私の気持ちを分かったらしく、すぐに来て、私を抱きしめてくれた。




「セイナの彼氏か?」

組長が聞いてきた。



「はい。井端組の若頭、井端陽です。」



陽くんが組長を見ながら言った。



2人は同じくらいの身長だったため、睨みあっている感じがした。



「陽くん、行こう。」

「あぁ。それじゃ。」

私は頭を下げて陽くんとその場を立ち去った。






「おい、井端組を調べろ。」


私達が立ち去った後にこんな会話をしていることを知るはずもない。











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