そら。―HAPPY STORY―

さ迷う。



暗くて、光りのない、一生の闇を。



思い出した。




この水族館は、俺と、光と、お母さんと、お父さんと来た、


希望と、絶望の淵だ。



光は泣いた。


光は家を出て行った。




見つけたとき光は、泣きながらイルカを必死に眺めていた。



だから俺は―――『忘れろ』と言った。




水族館は、忘れろと。



いつしか、俺も水族館や思い出を忘れていた。



忘れたかった。

最期の、思い出なんて。








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