そら。―HAPPY STORY―
「…お前の妹。大切にしろよ。」
少し驚いて、目を見開いた。
玲は欠伸をしてから、「もう帰るわ」と歩きはじめた。
俺は、振り返らなかった。
もう、前を向いていた。
「ありがとな。玲との時間、楽しかった」
なぜか。
なぜだか―――会うこともないだろう、と直感した。
「じゃあな。香」
俺と玲が親友に戻るという、夏美の望みは かなえられなかった。
でもな。
俺も、玲も、夏美も。
幸せだった。
そうだろ?