ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「は? どういうこと??」

「先程真上で〜殺気のようなものを感じたのですぅ〜。
ですが〜エリスさんは気付いていないようでしたので〜咄嗟の判断で突き飛ばしました〜。
僕の行動が〜あと少しでも遅れていたのなら〜攻撃を受けていたところでしたよ〜」

私は空を見上げてみた。

そこには満天の星空が見渡す限り広がっていたが、その奥では何やら蠢く影が。

飛行型の魔物が何体か、上空を旋回しているのだ。

魔物は当然地上だけでなく、空からもやってくる。

しかし鳥類に属する飛行型の大半は夜目が利かないため、魔物としては珍しく、夜間は殆ど行動をしない。

それに例え昼間であったとしても、地上へは滅多に下りることがなかった。

だがここには現在、モンスター・ミストがある。

通常であれば下りてこないにしても、それを嗅ぎつける鼻はあるはずだ。

村周辺では上空を見張っている術士や騎士たちがいるので、比較的安全ではあった。

しかし集団で襲ってきた場合には、流石に一般人も避難せざるを得ないだろう。

それなのに、未だ避難勧告が出されてはいなかった。

ということは、そのような気配がまだないということでもある。

「攻撃されそうな感じがしないんだけど」

魔物は遥か上空で旋回しているだけだ。

今のところ下りてくる様子がない。
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